肘折温泉のひなまつり(4月3日)
くねくねと山の奥に入っていくと眼下にぽっかりと一つの温泉場が出現する肘折温泉。
カルデラ地形に湧く山奥の温泉地。ここには江戸時代から続く契約(けいやく)というきまりで先祖代々温泉の権利が守られており、そこに住む人々の伝統や風習も生活の中で生き生きと息している。
かといっても、他人を寄せ付けないような気風はないのだ。なぜなら、昔から湯治場として栄えてきたこともあり、よそ者が気持ち良く滞在させることについてはプロフェッショナル。真のホスピタリティが感じられる。
そんな肘折温泉の雛祭りは
長く辛い冬が開ける春のお祭り。一般的には3月3日ですが、肘折温泉では4月3日に行われる。
・肘折温泉雛めぐりMAP2010はこちらからダウンロードできます。
・肘折の雛祭りポスターはこちらからダウンロードできます。
撮影:源泉の宿三春屋本館さん http://www.miharuyaga.com/
肘折温泉の昔ながらのひなまつり
ここ肘折温泉のひな祭りではこどもたちがリュックや袋をぶら下げて「はいっとう〜おひなみ〜きた〜」※ と言うかけ声と共に各旅館を訪れる。お菓子をもらってうれしそうに次の旅館を廻る。日本にもハロウィンみたいな風習があったんだと感慨深い。
※ 「はいっとう」とはお宅やお店などに入るときにかけるかけ声=御免下さい
※ 「おひなみ〜きた〜」=お雛様を見に来ました
なぜ肘折温泉のひなまつりが興味深いのかというと、他の地域の観光客用に企画された雛祭りでなく、地元の人々が祝う昔ながらのお雛祭りが今も生活の中に息づいていているから。年代が古い貴重なお雛様もあるし、華やかで伝統のお雛膳ももちろんあるが、それ以上に今でも子どもたちがお雛見に廻るということが懐かしくほほえましい。
今の世では近所の家に「こんにちは」と上がることもなくなって、当然、お雛見に廻るというの風習も見られなくなった。しかし思い返せば、昔は玄関に鍵はかかっておらず近所のお家に気軽におじゃましたもの。お雛祭りにはお友達を連れ立って近所のお雛様を見て廻り甘酒や雛菓子をいただいた。そんな古き良き時代をこの肘折温泉郷は思い出させてくれる。
毎年4月3日は春休みで学校が休みと言うこともあり、肘折温泉の子どもたちは仲良し仲間で朝から旅館を巡りにお雛見をする。観光や湯治でいらっしゃる方もどうぞ懐かしい風習が今なお残る肘折温泉のお雛祭りを見に来てください。そして、昔にタイムスリップし子どもに戻って「おひなみ〜きた〜」とお雛様を見て廻ってはいかが。各旅館は甘酒やお茶を用意してお雛様を見せてくれる
そうですよ。
横山商店さんにて | 大平鮮魚店さんにて | 旅館三春屋本館さんにて |
いでゆ館のとちの実クッキー | 丸屋旅館さんにて | 福本屋さんにて |
お雛様のお供え物 (肘折温泉の郷土料理)
雛祭りのもう一つの楽しみはお供え物。巨大なのくじら餅や蝶やトンボの絵柄の入った太巻き(巻寿司)、ゴンボイリ(ごぼう炒り)、煮物、お豆などが供えられる。
三春屋さんのくじら餅 パイナップルと比べると 大きなことがわかる〜? |
三春屋さんの太巻き チョウチョの羽、 失敗したんだって(笑) |
松井旅館さんの三種 |
お供え物のカド カドとはニシンのことです |
お魚屋さんだからお供え物は鯛 大平鮮魚店さん |
色が鮮やかな三種(三春屋さん) |
三春屋の女将さん特製くじら餅 | 松井旅館さんの太巻物 | 三春屋旅館さんのごんぼいり |
つたやさんの笹巻き | 西本屋さんの凍み餅 |
肘折温泉の伝統のお雛様
松井旅館さんの享保雛 牛若丸と弁慶(松井さん) 天皇誕生物語(松井さん) かーごめかごめ(松井さん) 五月人形とお雛様が 西本屋さん 大友屋さんでも五月人形 |
観月さんの吊し雛 拡大写真 小さい三人官女 葉山館さんにて |
しっとりとした 丸屋さんのお内裏様 つたやさんのお雛様は 豆雛がかわいいよ 横山商店さんのお人形 現代風の三段雛 ゑびすやさんにて
弁慶さんなぜそこに! |
もちろんお雛様も見応えありだ。斎藤茂吉が逗留したことで有名な松井旅館さんや若松屋村井六助旅館さんには江戸時代の享保雛※が、元河原湯旅館さんには肘折こけし工人で有名な横山政五郎作のこけし雛、 三春屋本館さんのお宮さんに入ったお雛様も見応えがある。他の旅館でも代々伝わるお雛様を飾る。加えてここ肘折温泉では端午の節句も同時に祝う風趣があり、お雛様と五月人形が飾られて賑やかに祭られている。 | ||
三春屋さんのお宮雛 |
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※ 享保雛(きょうほうびな)…最上川舟運の発達時期と重なる享保年間に流行したため、雛人形の主流となっている。比較的大型で、面長の顔が多く、装束は金襴や綿を用いており、豪華な印象がある。 |
肘折温泉のお雛膳
こちらは天然食材の宿別館三春屋さんのお雛膳。
最近はこれらのお供え物を主にした肘折温泉のお雛膳として観光客も食体験できる。(三春屋旅館他4旅館)お膳の中身は伝統料理が中心なので質素だが、飽食の現代、ある意味その土地の伝統料理を食せるというのは至高の贅沢だ。 ( 菜の花のおひたし、 うるいのサーモン巻き、 アサツキとイカの酢みそ和え、 ごんぼいり、 桜ますの焼き物、 手まり寿司、 はまぐりの吸い物、 甘酒など)
肘折温泉で昔からお雛様にお供えしてきた郷土料理や春の食材などが楽しめる肘折温泉のお雛祭り。これらのお雛膳は、肘折温泉内の四季の宿松屋、源泉の宿三春屋、いろりの元河原湯などでお召し上がりいただけます。
肘折温泉のお雛まつりと湯治
最後に。。。
商業化しすぎた温泉地ではなく昔ながらの湯治宿の多く残る肘折温泉。この不便不自由さが生きる力を呼び起こすからこどもたちが生き生きしているのかもしれない。
都会の便利さの中に守られているこどもたちは生きる力を失いつつあると思いませんか。
人は環境が変わることで活性化される。冬の間ゆっくりと冬眠させた頭と体を、今年は肘折温泉で湯治して精気をやしない、新しい春を迎えてみてはどうだろうか。
肘折温泉で湯治をして生命力呼び起こすのだ!
以上、肘折温泉を応援している「頑張れ!肘折応援プロジェクト
http://www.hijioriga.com/」が昔ながらの肘折温泉の雛祭りへごあんないいたしました。